「シリーズ:なぜ人は学ぶのか」④生物の先生にインタビュー(後編)(3/13UP)
2026.03.13
[プロジェクト]
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今回は先週に引き続き、「シリーズ:人はなぜ学ぶのか」第四回後編をお届けします。生物が専門のD先生ですが、近年は探究学習をメインに授業されており、新しいプロジェクトを次々と立ち上げています。後編では本校の探究学習の様子や、ミッションスクール・女子校の魅力について語って頂きましたので、どうぞご覧ください。
Q1 先生は現在中学の「総合的な学習の時間」と、高校の「総合的な探究の時間」以下、(「総合」)も担当されていますが、具体的にはどのような授業を行っているのでしょうか。
フェリスではJ1からS1までの各学年の「総合」で、探究学習に取り組んでいます。探究学習とは、自身の興味・関心や身の周りの社会に目を向け、生徒自身が課題を設定し、情報を集め、整理・分析しながら、自らの考えをまとめて表現していく学びです。決まった正解が用意されているわけではありませんから、「結果」そのものだけでなく、どうやって答えにたどり着いたのかという「プロセス」が重要になります。だからこそ失敗を恐れずに挑戦する姿勢を育んでほしいと考えています。
フェリスの「総合」の目標は、「未知の課題に対して協働して挑戦する“勇敢な先駆者”になる」ことです。テーマは教科横断的に設定され、経験を通して探究学習を進めるための方法を体系的に学びます。
2025年度は、J1(中1)は「ジェンダー・ギャップ」、J2は「生命」というテーマを扱い、探究学習の基礎を学んでいます。書籍や新聞、論文検索の方法や、課題設定の仕方を身に付け、仲間と対話を重ねていくことで、より発展的な探究につながる土台作りになります。授業はディスカッションやワークを行いやすいように特別に設けられたスタジオ(写真)で行っています。
J3では自分の生き方を考え、実社会とのつながりを意識する活動を展開しています。具体的には、企業が提示したミッションにグループで挑戦し、11月のアカデミックウィークでは企業訪問を行いました。
さらにS1(高1)では、グループごとに探究学習の課題を設定し、興味・関心に沿ったテーマに取り組んでいます。10個のテーマ(国際、防災、ビジネス、教育、情報、環境、科学など)から関心のあるものを一つ選び、同じテーマを選んだ仲間と活動します。学年末には、J1からS1までが一堂に会する探究発表会を開催し、互いの学びを共有する予定です。また高大連携協定を結んでいる星薬科大と北里大学をはじめ、多様な分野の外部講師をお招きし、講義をして頂いています。こうした実社会や大学等の研究とのつながりが、生徒たちの探究心を刺激しつつ、将来的なキャリアプランを考えるきっかけになることを願っています。
Q2 生徒たちの反応はいかがでしょうか。
本校は「学問の尊重」を大切にしながら、生徒一人ひとりの興味・関心を広げ、自律した学習者を育むことをめざしています。こうした教育環境の中で、自ら課題を設定して取り組んでいく探究学習は、知的好奇心の強いフェリス生にとても合っており、授業の時間以外でも自発的に実験準備や観察をしている人たちもいたりと、その集中力と探究心には驚かされます。
またフェリス生は、対話することが大好きです。グループワークにおいても、他者の声に耳を傾け、互いの個性を活かし合いながら協働し、より良い学びをつくり出す姿が多く見られます。ファシリテーターとして場をリードする生徒、安心して意見を言える雰囲気をつくる生徒、多様な視点を提供する生徒など、一人ひとりが自分の賜物を活かしながら、互いの学びを高め合う様子はとても頼もしいです。
J3で、哲学対話(テーマ:テクノロジーが発展する社会における人間の役割)を実施した際には、「普段の学校生活のなかで、もっとこういうテーマで語り合いたい!」という感想があがりました。また、グループでブレインストーミングを行うと、付箋に書かれたアイディアがあっという間に模造紙いっぱいに広がるほどの活発さを見せてくれます。
自分自身も他者も尊重しながら学び合い、高め合うことができるフェリス生にとって、探究学習はまさに相性の良い学びのかたちです。
Q3 先生もプロテスタントの女子校を卒業されたそうですが、ミッションスクールや女子校の良さはどういったところにあると感じますか。
私は中学入学までキリスト教に触れたことはありませんでしたが、中高生という多感な時期に、キリスト教と出会えたことはとても大きかったように感じています。
フェリスと同様に自由な雰囲気の学校でしたが、自由とは自分勝手な振る舞いを許されていることではなく、キリスト教の教えを軸に、自らを律することである、ということを学びました。物事の善悪はその時代によって変化することがありますが、そのような中で、神様という普遍的な存在が心の拠り所になっていたように思います。
聖書の授業では、キリスト教だけでなく他宗教や生命の尊厳について学ぶ機会がありました。平和について考え、広島を訪れたり、修養会では同級生と生き方について語り合いました。こうした学びや体験は、まさにミッションスクールならではの良さだと思います。
また、女子校で6年間を過ごしたことの良さも強く感じています。女子だけの環境だからこそ、周囲の目を過度に気にすることなく自分をのびのびと表現でき、互いを受け入れ合いながら過ごすことができました。ときには意見がぶつかることもありましたが、その分、深い信頼関係が築かれていきます。卒業後も同じ学び舎で過ごした仲間とのつながりは強く、今でも大切な支えになっています。同級生だけでなく、先輩や後輩、そして先生方とのつながりも続いています。こうした「心の拠り所となる仲間との絆」こそ、女子校ならではの魅力だと思います。
正解がない問いに向き合い続ける「探究」には、知的体力が求められますが、好奇心に溢れ、対話が大好きなフェリス生にとっては楽しい時間かもしれません。皆で一生懸命取り組めている様子が伝わってきました。また、臆せず活発な議論ができるのも、普段から他者を尊重する姿勢を重視するキリスト教の教育や、異性の目を意識することなく自由闊達な雰囲気が当たり前にあるからこそであるとD先生のインタビューを通じて感じました。
シリーズ「人はなぜ学ぶのか」は今後も続きます。次回もお楽しみに!
<シリーズ:なぜ人は学ぶのか バックナンバー>
①世界史の先生 前編・後編
②古典の先生 前編・後編
③画家の卒業生 前編・後編
J2総合の授業風景

対話に適したスタジオで授業が行われます














