【生徒作成記事】「英語で学ぶ地球温暖化―上智大学出張講義」(1/29UP)
2026.01.29
[授業]
11月13日、上智大学より冬月世馬先生をお迎えし、英語での出張講義(希望者のみ)が行われました。テーマは”Numerical Applications in Geosciences: from Molecules to Atmospheres”(地球科学における数値的応用─原子から空気へ)とし、最初の30分で地球温暖化に関する講義があり、次の30分で大学の学科を紹介をしていただきました。
アカデミックウィーク内唯一の英語講義であったため、生徒たちはかなり身構え、また意気込んで臨んでいるように見受けられました。「物理学や数学、化学に関する知識は必要ない」ということは事前に通知されていましたが、それでも、英語の専門用語に溢れた講義を想像せざるを得ませんでした。
しかし、そんな私たちの予想は良い意味で裏切られることになります。講義の初め、プロジェクターには「散らかった服」と「クローゼット」を対比して並べているスライドが映し出されました。そして、「『散らかった服』が”weather”であり、『クローゼット』が”climate”なのだ」という比喩から講義は始まりました。これは、天気とは「ある場所でのその日の天気」という“個”の現象を指す用語であり、気候とは「整理された天気」、すなわち“集合体”を指す用語であるということを表すたとえです。
こうした身近なたとえを用いた丁寧な導入から始めていただけたので、緊張していた私たちも安心して講義に入ってゆくことができました。「天気(weather)はその日一日のものであって毎日変動するが、気候(Climate)は傾向であり、平均的な天気である」というご説明があった後、テーマは「地球温暖化はどのような変化であるのか」に移りました。
地球温暖化についてのパートでは、“Temperatures increases in most places”(世界のあらゆる場所で気温が上がっている)、以前は低かった場所でも全体的に上昇傾向にある、という言葉が、日本語よりもいっそう強い危機感を感じさせるように繰り返されていました。細かい変化は分からなくとも、グラフ上での気温の上がり方を視覚的に理解することができました。
それでは、なぜこの地球温暖化が引き起こされるのか、と先生の論は発展します。段々とスライドの内容は複雑になっていきましたが、その中で先生が何度も仰っていたのが、「この内容全てを理解する必要はないのだ」ということでした。スライドの端にある幾行にも及ぶ数式も「これは大学に行って学べばいい。今理解する必要はない」と割り切って講義を進めてくださいました。たしかに、言われてみれば、英語で行われる説明になんとかついていっている状態で、数式の解説まで盛り込まれたら、私たち受講生は混乱してしまっていたかもしれません。しかし、詳細を省いているからといって、高校生向けに教える内容やレベルを妥協していらっしゃるわけではないと感じました。むしろ逆に、高校生でも内容をしっかり理解できるように、先生が情報を取捨選択してくださっていることがよく伝わりました。
日本語で温室効果ガスと呼ばれているものは、英語でgreenhouse gasと表されます。よく知られている通り、その内部に含まれるCO₂(二酸化炭素)などが地球温暖化の主要的要因であり、温室効果ガスの典型例ともいえます。そんな空気中の粒子、しかも、空気の中のほとんどを占める酸素や窒素に比べてかなり量の少ない粒子によって、地球規模の変化が生み出されているのです。その事実を直接的に突き付けられ、純粋に驚きました。そして、日本語では聞いたことのある話なのに、英語だとこんなにも新鮮に受け取れるものなのかと、言語の力に感動しました。その後、温室効果ガスの仕組みについて理解しきった頃には、気づけば講義の時間は終わりを迎えていました。
後半の学科紹介は、冬月先生のこれまた流ちょうな日本語によって行われました。上智大学にはEnglish-taught-programというものがあり、その中でも冬月先生の講義では化学に関する授業を英語で行っているそうです。先生は、「1つの分野に限らず、複数の分野を両立して学ぶことで次世代に繋がる問題に取り組むことも、上智大学の、そして理工学部のテーマである」と仰っていました。また、理工学部からは工学部に限らず、銀行・金融系の職に就く人も多い、といった卒業後の進路に関するお話もしていただきました。大学在学中に得た、目の前の課題と向き合うという経験を社会で大いに生かす人も多いと言います。学科紹介にとどまらず、大学に行くという選択肢の意義や、自分の将来の可能性までも感じられる時間でした。
質疑応答では、講義自体の内容や学部に関する質問まで、幅広く受け付けていただきました。「英語で理工に関する知識を学ぶことの良さはなんですか」という質問に対しては、先生は「かっこいいから」と即答され、受講生の笑いを誘いましたが、その後はとても真剣にお話ししてくださいました。物理や化学に関しては、言葉の難しさよりも「数式の難しさ」がものを言うため、学生たちも英語で学ぶことそのものに関しては、そこまで苦労することなく授業についていけるそうです。また、世界の研究者たちと同じ言語で語り合えるのはやはり1つの強みだと仰っていました。しかし、先生はその後、「それもあくまで研究者としての強みである」と逡巡していらっしゃったため、実のところ、英語で理工学を学ぶ最初のメリットは、「かっこいい」というその一言につきるのかもしれません。実際、それだけでも英語で理工学を学ぶという選択をするには十分ではないだろうかと思えるほど、今回の英語での講義は楽しいものでした。
英語の講義ということで、取るのには勇気がいりましたが、私を含め参加した生徒たちはみな新鮮な経験をすることができました。これはアカデミックウィークならではの非常に良い機会だったので、このような出会いに心から感謝しています。













