授業探訪:「数学C(2024年度選択)」~いざ、広い数学の海へ~(6/13UP)
2025.06.13
[授業]
3月6日~7日、S2選択数学Cの授業において、自由研究発表会が行われました。この発表会では、生徒が追求したい数学的な課題を自主的に定め、授業で学んだ内容や技術をもとにそのテーマを検討した成果を発表しました。発表者は総勢8名で、発表会は2クラスに分かれて行われました。
今回の発表では「二項係数の総積」「暗号化と数学~RSA暗号とユークリッドの互除法~」「ゴルトンボードの神秘」などのテーマが出そろいました。既習の公式を一部変形するとどのような式が生まれるのかという授業の延長線上の課題から、日常生活で役立てられている技術の基礎となっている数学的事項に着目した課題まで、いずれもバラエティに富んだ内容でした。
中でも、「[(1+√5/2)2024]の一の位は?」というテーマを定めた生徒は、「1+√5/2という黄金比の数値を電卓でひたすら累乗していったところ、2024乗の直前で桁数が多すぎてエラーになってしまった。しかし、2024乗の一の位がどうなるのかが気になったので、自分の手を動かして検証することにした」と、ユニークなテーマ決めの理由を説明していました。
彼女はまず言葉通り自分の手を動かして計算し、結果を表にまとめることで、1+√5/2を累乗していった一の位の数値にはなんらかの規則性が表れるのではないかという仮説を立てます。そして、これまで学んだ数列の知識をもとにその仮説を証明し、最終的に自分の立てた問いの解答を見事導き出しました。
生徒たちの発表は、スライドを用いて一つ一つの考え方を丁寧に説明する傍ら、黒板を用いてリアルタイムで証明を実演するような形式が多く、自分の研究した内容を相手にしっかりと伝えようという工夫がなされていました。
また、証明の実演時には、ときに同級生を指名して既習内容の復習を挟んでみたり、発表者の計算に誤りがあった時には聞き手側の同級生がさりげなく指摘してくれたりと、お互いの学びを尊重し、助け合いながら一つの授業を作ろうとする空気に包まれていました。
発展的な課題を自ら見出し、すでに学んだ知識を道具としてその解決の道筋を発見する営みは、数学のみならずすべての学問において重要な姿勢です。とはいえ、一人で研究するばかりでは、どこかで行き詰まってしまうこともあるでしょう。そういう時にこそ、同じ土台で学び、異なる関心を持ちながらも、お互いに学びあうことができる気の置けない学友の存在が大切になるのだと感じます。
今後も、友人とほがらかに協働し、自らの学びをブラッシュアップできる前向きさを持って、さらなる深い学問の道へ分け入ってゆく生徒たちの姿を心から応援してゆきたいと思います。



