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【生徒作成記事】メディアとジェンダーを考える(9/21 UP)

2023.09.18

[授業]

メディアとジェンダー、一見関係のないように見えるこの2つは、実は深く結びついています。S2選択科目「教養講座」では、フェリス女学院大学からマス・コミュニケーション論と女性学を専攻する諸橋泰樹先生をお招きし、ご講演いただきました。 

まず、導入として社会的構築主義について学びました。社会的構築主義は、「人は社会を構築する」、「(構築された)社会によって人は構築される」という立場を取ります。メディアは人の手によって構築されたもの、つまり何らかの意図が加わってできたものであり、ジェンダーも社会や文化によって構築されたものとだということを理解しました。 

その後、実際にテレビ番組を視聴しながらメディアの作られ方とジェンダーについて考えました。「あるCMの内容が女性差別をしていると抗議団体が反対の声をあげたことが話題となったため、それについてCM制作会社、第三者機関、抗議団体、街の人が意見を述べる」という構成の英国の番組です。 

この番組では、多くの意見を取り入れてフラットな視点で情報を伝えているようで、実際はそうではありませんでした。衣服や撮影場所、カメラアングルなどの要素が映像対象によって異なり、それを分析すると「ある特定の立場の人が不利になっている」ということが分かったのです。それは印象操作とも呼べるでしょう。 

また、過去に実際に放映されていた日本のCMも分析しました。そこでは「無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)」の影響力の強さに気付かされることとなりました。日常生活の中でなんとなくこのCMを見たら、きっとこれの何が問題なのか分からないだろうというほどに、無意識の偏見は恐ろしく自然に馴染んでいます。 

これらのことから、私たちは知らず知らずのうちに物事に対しての偏見を植え付け「られ」ているという事実を知りました。それを今から修正していくのは難しいですが、「無意識の偏見」の存在を知っているだけでも何かが変わるはずです。そして、メディアに触れる際には「無意識の偏見」や印象操作の存在を心にとめていくことが重要であることを学びました。