【生徒作成記事】図書館運営部、印刷博物館へ行く(10/16 UP)
2023.10.16
[プロジェクト]
図書委員会運営部は、8月1日に東京都文京区にある印刷博物館に行きました。工房で実際に活版印刷を体験した後、館内にある大型展示「印刷技術の変遷」の解説を聞き、最後に、常設展「印刷の日本史・世界史」を見学しました。
活字とは、はんこのように文字が凸になっている直方体の金属です。これらを一文字ずつ並べて印刷する活版印刷は、日本では明治時代から本格的に使用されるようになりました。紙に写したときに正しい向きになるよう、活字の文字は左右が逆になっています。
今回、私たちは、鉛でできたアルファベットの活字を使い、コースターに短い文章を印刷しました。
まず、文章に使う文字の活字を拾いました。拾った活字は向きを揃え、ステッキと呼ばれる台に並べます。単語同士の間にはクワタまたは込物(こめもの)、行間にはインテルと呼ばれるものを入れ、インクが乗らないようにしました。
単語同士のスペースは文字のサイズの1/4程度が美しいとされているそうです。活字の大きさはpt(ポイント)という単位で決められており、今回の文字は24ptだったので、込物は6ptを使用しました。
次に、コースターの中央に文字が来るように幅を合わせます。ステッキは予めコースターの幅に合わせられているので、文字の両側に大きいものから込物を入れていきます。最後の微調整はスタッフの方に手伝って頂き、ステッキの中で活字が動かないように固定しました。
最後に活字を印刷機にセットし、いよいよ紙に印刷します。
機械にはインクが蓄えられた円盤があり、ローラーが円盤から活字にインクを乗せてくれる仕組みになっていました。レバーを押してインクを乗せた後、紙を活字に押し付けて、印刷することができました。
自分達が作った3枚のコースターは持ち帰ることができました。自分の手で印刷した文字は親しみが感じられ、実際に使うのが楽しみになりました。
活版印刷を体験した後は、館内の大型展示「印刷技術の変遷」をスタッフの方に解説していただきました。なかでも、「グーテンベルクが15世紀に発明した活版印刷は、日本に16世紀に伝わったものの、江戸時代に普及せず、木版印刷が続いていた」という事柄が印象に残りました。
普及しなかった理由の一つとして、「日本語はひらがな、カタカナ、漢字の3種類を使うため、アルファベットよりはるかに多い活字が必要になります。印刷するために活字を探して拾う手間や、漢字のつくりが複雑であるため活字作りに時間がかかってしまうから普及しなかったのではないか」と私たちは考えました。解説を聞きながら、自分達でもあれこれ考察するのは楽しいことでした。
最後に、常設展「印刷の日本史・世界史」を自由見学しました。現存する世界最古の印刷物など、貴重な収集物を数多く見ることができました。また、日本と世界で印刷が人々の生活に果たしてきた役割を、年表や展示物を通して体系的に学ぶことができました。
今、学校の図書館にある本の多くは、オフセット印刷という技術を利用して印刷されています。本や雑誌など図書資料を手に取る時、「印刷」にも関心を持ってもらえたら幸いです。