絵巻物をよむ-中世武士の鬼退治-(3/10 UP)
2023.03.10
[授業]
中学2年生の日本史の授業では、神奈川県立歴史博物館の学芸員である渡邊浩貴さんをお迎えして、「中世武士の鬼退治―『酒呑童子絵巻』を読む」という講座をしていただきました。
「武士」というと一般的には「武力・武勇に優れた人」と理解されていますが、中世ではそれ以外の大事な役割がありました。
今回の授業では、『酒呑童子絵巻』を用いて、当時の人々が「武士」に何を期待し、どのように認識していたのかを、わかりやすく解き明かしていただきます。
「酒吞童子」(しゅてんどうじ)とは、京都の大江山に住んでいたとされる鬼王の名前です。『酒吞童子絵巻』は、悪行を繰り返す鬼王の討伐に向かう中世の武士たちの姿を、色彩豊かに描いています。
絵巻物をじっくりと読み取る、という初めての経験でしたが、専門家の渡邊さんの解説を聞く中で、絵巻物の描かれ方、そこに込められた意味などを理解することができ、生徒たちは各自に配られた資料に真剣に見入っていました。
授業で習う「武士」と、当時の史料や絵巻物から読み取れる「武士の役割」のギャップに新鮮な驚きを持ち、好奇心を刺激されたようです。
最後に、「酒呑童子とは何だったのか」という『酒呑童子絵巻』のテーマに関する解説を聞きました。
絵巻物は単なる空想物語ではなく、当時の現実社会を反映したものであるという大変興味深いお話でした。
生徒からは、
「歴史を学ぶにあたって一番大事なのは、歴史の流れをただ覚えるということではなく、史料から当時生きていた人の考えをくみ取り、自分なりに考えることだと思った」
といった感想が聞かれました。
史料から読み取り考える歴史の醍醐味・面白さを、一人ひとりが体感できたようです。
当時の社会の感性や社会全体のあり方を、歴史史料を通じて考えることができるとても貴重な機会になりました。
『酒吞童子絵巻』をよむ
大教室にて
ホームルームにて