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関東大震災の記憶を継承する (10/24 UP)

2022.10.24

[授業]

高校2年生の地学基礎の授業(選択科目)で、関東大震災について学びました。
震災発生のメカニズムについての講義を受けた後、被害の甚大さについての理解を深めるために、被害状況を裏付ける当時の被災者の手記を読みました。
99年前のフェリスの生徒の証言です。

関東大震災が発生したのは、1923(大正12)年9月1日。学校が創立して53年目のことでした。
震災によって校舎は崩壊し、校長のカイパーが殉職しました。また、在校生632名のうち13名が亡くなりました。
現在の横浜の繁栄からはとても想像ができませんが、人々は終末(世のおわり)を実感したと思います。

震災から3か月後には仮校舎が建てられ、翌年1924年1月7日には授業が再開されました。
当時、国語(作文)を担当していた教師、寺田醇造は、「他から得がたい尊い実感を生のまま永く、後の世まで残したい」と念願し、生徒に震災体験の作文を書かせました。
151名の生徒の作文は『大震火災遭難実記』と題され、3冊の和綴じ本として製本されました。
この作文が、99年後のフェリス生たちに読まれることとなったのです。

生徒たちは学院歴史資料館による『大震火災遭難実記』の展示も見学しました。
展示では、2名と1組(計5名)の生徒の手記が取り上げられ、手記で言及されている場所が地図上にポイントで示されています。

生徒たちの感想を紹介します。
「フェリス生が受けた被害は想像より大きくいたたまれない気持ちになった。」
「辛い体験を文字に起こすために思い出し伝えようとする勇気を感じた。」
「今から100年前に起きた関東大震災はもう直接話を聞けないため、とても貴重なものだと思った。」

生徒たちには、この99年前の先輩の経験と今の自分を重ね合わせてほしいと願います。
時代が違うので全く重ならないように思えますが、「フェリス」という場(空間)は共有しています。

地学基礎の授業では体験を通して主体的に学ぶことを大切にしています。
その後の授業では、堆積岩や変成岩について、触感を手で確かめたり、ルーペを用いて表面を見たり、偏光顕微鏡で岩石の薄片プレパラートの観察をしたりしました。
偏光顕微鏡では、岩石の内部(鉱物)まで見ることができます。